新宿の下落合のタヌキの森の時も重層長屋が建てられました。
今度は、世田谷の奥沢だそうです。
規制外の「重層長屋」、都内の住宅街に続々
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111228-OYT1T00374.htm
ちょっと解説しましょうか。
重層長屋も長屋だとすると、特殊建築物ではなくなります。
長屋は、共同住宅でないとされているからです。
共同住宅だとしたら、下記のように東京都の建築安全条例で、特殊建築物に対する規制が働き、旗竿敷地といった路地状部分がある敷地では原則建てられなくなりますが、特殊建築物でなければ原則として建てられることになります。
東京都建築安全条例
(適用の範囲)
第九条 この章の規定は、次に掲げる用途に供する特殊建築物に適用する。
二 共同住宅、寄宿舎又は下宿(以下「共同住宅等」という。)
(路地状敷地の制限)
第十条 特殊建築物は、路地状部分のみによつて道路に接する敷地に建築してはならない。ただし、次に掲げる建築物については、この限りでない。
一 路地状部分の幅員が十メートル以上で、かつ、敷地面積が千平方メートル未満である建築物
二 前条第六号又は第十三号に掲げる用途に供する建築物で、その敷地の路地状部分の幅員が四メートル以上で、かつ、路地状部分の長さが二十メートル以下であるもの
三 前二号に掲げるもののほか、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める建築物
何階建てにもなっている重層長屋を長屋としてしまうと、住戸数が多いのに、通常共同住宅に対して行われている規制がかからなくなります。
私は、そもそも、共同住宅を規制し長屋は規制しないこの条文をはじめて見た時、おかしいと思いましたが、当時は、特殊建築物でなくてもかかる敷地延長の規定(延長に応じて幅員で規制)のほうである程度縛っているし、まあ長屋なら大した規模にもならないし、うまい緩衝材になるならそれもまあ意義があるかなと思ったものでした。
しかし、その後、圧力がかかって敷地延長の規定は緩くなってしまいましたよね。
これも、国が脱法的な建築行為を助長してしまった事例なんじゃないでしょうかね。
ところで、読売の記事では、役所が
「長屋といえば平屋が中心の時代。複雑な階層構造を持つ現在の形は想定されていなかった」
と言ったとのこと。
世の中が変わっているのに昔のままでほって置いた議会が悪いというのでしょうかね。
それとも定義を変えてくれない国が悪いというのでしょうか?
定義は国が解釈として示しただけですか?それとも、こういう件での判例はありますか?
平成29年7月20日付で通知がされています。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000086.html
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/05/31/19.html
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/topics/h30/pdf/topi002/topi002_2.pdf
パブリックコメントが実施されていたようです